発注される記事がブラックに染まっていくまで
こちらの記事の続きを書こうと思います。
このブログに書いていることに、嘘はない。私だと特定されないために、一部時系列を変えたり、すっ飛ばしたりしているけれど、全部本当のことです。
クライアントAから頼まれる仕事は、最初は被リンク用のブログを育てる仕事だった、というところまでが前回のくだり。
後にこれは「ブラックSEO」という、あまりよろしくないSEOのやり方だと知ったけれど、この時の私はあまりにもアフィリエイトに関して無知だった。
私は無意味な日記をガンガン書いた。これでもかってぐらい書いた。そうしたら、ブログ以外の記事もお願いしますと頼まれるようになった。アフィリエイトサイトに入れる用の記事だ。
面接を受けた時から「能力の高い人にはこうした仕事をお願いすることもあります」みたいなことを言われていたので、私はすごくうれしかった。私は能力が高いと思ってもらえたんだな、と。視界の端であの頃見たキラキラが見えた気がした。
その頃にもらっていた仕事は、ブラック嘘記事の仕事ではなかった。
化粧品なり健康食品なり、商品をもらって使って、それの感想をまとめるといった感じの仕事だった。
短い期間であっても、自分で商品を使った感想を書くのは嘘ではない。実際、その時は「嘘は書かないでください」という指示があって、その指示のもと記事を書いていた。
「メリットもデメリットも書いてこそ売れるんです!」
「コンテンツというものは、人の生活を向上させるためのものなんです!」
私はクライアントAの言っていることに感動した。本当のことを書いて、私の文章が人の生活を向上させるために役立つのであれば、なんてステキなことだろう!そう思った。
しばらくはこうした「人の生活を向上させるもの」を書く仕事が続いた。
クライアントAは個人事業主から法人化することになった。私もそれなりに力になれていると思っていた。とても嬉しくて、とても喜んだ。
それから1年ぐらいは楽しい嬉しいばっかりの仕事が続いたと思う。キラキラと世界が輝いていた。
おかしくなり始めたのは、これまで単価が安くても売りやすい、数が売れる案件ばかりを扱っていたのが、一攫千金を狙ってか単価の高い案件ばかりを狙うようになってからだ。
それまで「嘘は書かないでください」だったのが、「多少の嘘は書いても大丈夫です」になっていった。それどころか、発注された記事のタイトルリストを開いたら、一瞬血の気が引くほどブラックな記事タイトルが並んでいた。
「こんなこと書いていいんですか?かなりグレーな内容ですよ」という私の言葉に「法に触れていないから大丈夫です。責任は私が取ります」とクライアントAは言い切った。
私はこの時、「一部の仕事ぐらい、仕方ない、仕方ない、仕事だ」と思って、記事を書き進めた。
「同時に、ホワイトSEOのホワイトで良質なサイトを作ることにも取り組みます!ブラックな仕事はそれが軌道に乗るまでです!」と言って実際に取り組んでいた。
こちらのホワイトな仕事の記事も書かせてもらっていたので、納得できていた。この仕事では、取材に行ったりもした。素直で正直な記事を書けていたこの仕事は、本当に楽しかった。
しかし、ホワイトSEOは大失敗。このホワイトSEOとやらを教えてくれていたセミナーの先生様がいたんだけど、途中でこの人が教えていた方法が効果を失い、逃げた。(っぽい)
結構なお金を支払っていたので、クライアントAはものすごいショックを受けていました。
そしてこれと同時に、グレーな内容の記事で売っていたアフィリエイト商品が、まぁかなり売れて相当儲かったんだそうです。
クライアントはこの案件を始めて、私には言えないぐらいお金を稼いだんだそうです。と、人づてに聞きました。
それから(恐らくその資金を元手に)「SEOの技術を使って新しい事業を!」と前向きなことを言っていました。
新規事業に取り組み始めた頃は、私には「こっちの仕事も手伝ってもらうかもね」なんて言っていた。
文章で稼ぎたいという本筋からズレてしまうけど、それもいいかなと思った。
出会ったころは本当に朗らかでいい人で、私はクライアントAを信頼していた。人がそんなに簡単に変わってしまうなんて思わなかったから、ずっとこの人は朗らかで優しい人のままで、このままこの朗らかな人の元で緩やかに稼いで生きていくのかな。うん。悪くない。と、思っていた。
その年は「節税」という言葉を聞くことが多かったですね。本当に節税かな?なんて思ったりもしましたが、黙っていました。私には関係のないことなので。
節税節税言わなくなった頃、新規事業は廃止になりました。思ったほど利益が出なかったそうです。たった半年やっただけでそんなこと言っちゃう?と思いましたが、私の会社ではないので何も言いませんでした。冷たいでしょうか。
悲しかったのは、その新規事業のために雇われた人が即解雇されたこと。私とは違い、常駐の社員として雇われていた。
とても頭が良く、営業も上手で、私には見習う要素しかないすばらしい人だった。初めて人を尊敬の目で見た。少なくとも、「尊敬」という感情を自覚したのは、この人が初めてだった。
そんなすばらしい人が、突然の解雇でしっちゃかめっちゃかになっているその姿を見た。ここに入る以前の仕事を辞めて、クライアントAを信頼して来てくれたのに。クライアントAの仕打ちは私も泣いてしまうぐらい酷かった。ただの解雇だけでも辛いのに、追い立てられるように追い出されていった。私は見ているだけしかできなかった。
私の心はそのすばらしい人の味方だったけれど、雇い主はクライアントA。陰に隠れてその人を助けるしかできなかった。私の助けがその人の助けになっているのかもわからないぐらい、しょうもないことしかできなかった。
そうして、ホワイトな仕事も新規事業の方向も失った結果、私の仕事はグレー色したブラックな記事書きの仕事で染まっていきました。
このお話はもうちょっとだけ続くんじゃ。
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